「パスワードは付箋に書いてパソコンに貼っている」「スタッフ全員で同じパスワードを使い回している」「辞めたスタッフが、まだネットショップの管理画面に入れるかもしれない」――小さな会社やお店では、こうしたパスワードの管理が珍しくありません。
しかし、メールやSNS、ネットショップ、会計ソフトなど、仕事で使うサービスが増えるほど、パスワードの管理が甘いことによる被害は大きくなります。この記事では、奄美市でWeb制作とDX支援を行う株式会社Shizukuが、小さな会社が押さえておきたいセキュリティの基本と、パスワード管理ツール「1Password」の活用方法を解説します。
小さな会社によくある、4つの危険

「うちは小さいから狙われない」と考えがちですが、不正ログインの多くは、会社の規模に関係なく機械的に行われます。次のような状態に心当たりはないでしょうか。
- 同じパスワードの使い回し:一つのサービスからパスワードが漏れると、同じパスワードを使っている別のサービスにも不正にログインされてしまいます。
- 付箋やExcelでの管理:パスワードを書いた紙やファイルは、紛失や持ち出し、誤送信のおそれがあります。
- 退職者のアカウントが残っている:共有のパスワードを変えないままにしていると、辞めた人も引き続きログインできてしまいます。
- 2段階認証を設定していない:パスワードが漏れた場合に、それだけでログインされてしまいます。
まず押さえたい、3つの基本対策

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)も、不正ログイン対策として「パスワードの作成・管理」と「多要素認証の設定」を呼びかけています。小さな会社では、次の3つから始めるのがおすすめです。
- サービスごとに異なる、長く複雑なパスワードを使う:使い回しをやめるだけで、被害の連鎖を防げます。
- 2段階認証(多要素認証)を設定する:パスワードに加えて、スマートフォンに届く確認コードなどでログインする仕組みです。メールやSNS、ネットショップの管理画面など、重要なサービスから設定しましょう。
- 共有と退職時の管理を仕組みにする:誰がどのパスワードを使えるのかを把握し、スタッフが辞めたときにすぐ止められるようにしておきます。
ただし、サービスごとに異なる複雑なパスワードを、人が覚えておくのは現実的ではありません。そこで役立つのが、パスワード管理ツールです。
詳しい手順は、IPAの「不正ログイン対策特集ページ」もあわせてご覧ください。
パスワード管理ツール「1Password」とは
1Passwordは、パスワードや2段階認証のコード、クレジットカード情報などを、暗号化して安全に保管できるパスワード管理ツールです。パソコン、スマートフォン、ブラウザで使え、個人向けのプランに加えて、会社やチームで使うためのプランも用意されています。

1Passwordでできること
- 強いパスワードの作成と自動入力:サービスごとに長く複雑なパスワードを自動で作り、ログイン時には自動で入力してくれます。覚えておく必要はありません。
- 必要な人だけに共有:「保管庫」と呼ばれるフォルダーごとに、誰が見られるかを設定できます。たとえば「SNS運用」の保管庫は広報担当だけ、といった使い分けができます。
- 漏えいや使い回しの警告:「Watchtower」という機能が、漏えいが確認されたパスワードや、弱いパスワード、使い回しているパスワードを知らせてくれます。2段階認証を設定できるのに設定していないサービスも教えてくれます。
- 2段階認証のコードやパスキーの保存:ログイン時に必要な確認コードや、新しいログイン方法である「パスキー」も保存できます。
- メンバーの追加と削除:スタッフが入社したときは招待し、退職したときはアクセスを止めるだけで、共有していたパスワードへのアクセスを一括で止められます。
小さな会社向けのプラン
1Passwordには、少人数のチーム向けのプランと、より大きな組織向けのプランがあります。小さな会社であれば、少人数のチーム向けのプランから始めるのが一般的です。無料で試用できる期間も用意されているため、まずは試してみて、職場に合うかを確かめることができます。
料金やプランの内容は変更されることがあるため、最新の情報は1Passwordの公式サイトでご確認ください。
導入の進め方

いきなりすべてのパスワードを移す必要はありません。次の順番で、少しずつ進めるのがおすすめです。
- 管理者が登録する:まずは経営者や担当者が登録し、使い方に慣れます。
- よく使うサービスから登録する:メール、SNS、ネットショップの管理画面など、重要なものから登録します。
- 共有の保管庫を作る:「店舗共通」「SNS運用」など、用途ごとに保管庫を分けます。
- スタッフを招待する:必要な保管庫だけを見られるように設定して招待します。
- 古いメモを処分する:パスワードを書いた付箋や、Excelのファイルを処分します。
あわせて、登録したサービスから順に、パスワードを強いものに変更し、2段階認証も設定していきましょう。
導入するときの注意点
- アカウントのパスワードとSecret Keyを大切に保管する:1Passwordにログインするためのパスワードと「Secret Key」は、1Password自体の鍵になります。登録時に作成される「Emergency Kit」を印刷し、金庫など安全な場所に保管しておきましょう。
- 管理者を2人以上にしておく:管理者が1人だけだと、その人が不在のときに困ります。信頼できる人をもう1人、管理者にしておくと安心です。
- ツールだけに頼らない:怪しいメールのリンクを開かない、パソコンやスマートフォンを最新の状態に保つなど、基本的な対策もあわせて続けましょう。
よくある質問
Q. ブラウザにパスワードを保存する機能では駄目ですか?
A. ブラウザの保存機能も、使い回しをなくすうえでは役立ちます。ただし、スタッフ間での安全な共有や、退職時のアクセス管理まで考えると、会社で使う場合はパスワード管理ツールのほうが適しています。
Q. 1Passwordにすべてのパスワードを預けて、かえって危なくありませんか?
A. 1Passwordに保存した情報は、暗号化されて保管されます。ログインには、アカウントのパスワードに加えて、利用者の手元にある「Secret Key」が必要な仕組みになっています。ただし、どのようなツールでも、アカウントのパスワードの管理と2段階認証の設定は欠かせません。
Q. パソコンが苦手なスタッフでも使えますか?
A. はい、使えます。一度設定すれば、ログイン画面で自動入力されるため、むしろ毎回パスワードを入力するより簡単になります。最初の設定と使い方の説明を、職場でまとめて行うとスムーズです。
Q. 導入や設定を手伝ってもらえますか?
A. はい、承ります。Shizukuでは、パスワード管理の見直しや、ツールの導入・初期設定、スタッフ向けの使い方の説明などもお手伝いしています。お気軽にご相談ください。
まとめ
- 小さな会社でも、パスワードの使い回しや共有の甘さは大きな被害につながります。
- 基本は「サービスごとに異なる強いパスワード」「2段階認証」「共有と退職時の管理の仕組み化」の3つです。
- パスワード管理ツールの1Passwordを使えば、強いパスワードの作成から、必要な人だけへの共有、退職時のアクセス停止までを、まとめて管理できます。
Shizukuでは、ホームページやネットショップの制作だけでなく、AIの活用やパスワード管理など、日々の業務のデジタル化もひとつの窓口でご相談いただけます。「何から見直せばよいか分からない」という段階でも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
※ 記事内の製品情報は、2026年10月時点のものです。



